道化の華

2012/02/16

敦賀半島

まず始めに。

自分は脱原発を望んでいますが、
開沼博さんが『「フクシマ」論』の中で述べられている
原発立地地域、地方、そして日本への問題意識に深く共感しており、
これから書き綴る文章は立地地域に理解を示さない方にとっては
<維持派>のようにも感じるかもしれません。



原発について書かれている色んな本や雑誌、記事なんかを読んで
なんとなく「原発見に行ってみよう」と思って敦賀原発の近くまで行ってきた。



305号線。





ここはまだ福井市。
福井駅からだとだいたい20数kmくらいかな?

別に写真を撮る必要も無かったんだけど、
こうやって改めて見るとやっぱりすごい田舎。



次、南越前町の河野。





近くに住む無職男性(65)は
「原発建設のときに反対したが、いま対岸は発展しとる。
事故は不安やけど、ここを離れるわけにはいかんし」
とつぶやいた。

対岸の原発「恩恵なく危険だけ」 旧河野村、海挟み8キロ :福井新聞


実際に見た感想は、そんなにさびれてるかな?だった。
ばあちゃんの家が三国の海の前にあるからだろうか。
裏側の通りとかはそんなに大差は無いように感じた。

しかし、ここで生活しているわけではないので
実際に生活する上での不便さはわからない。
長年ここに住んでいると、過疎、高齢化を切に感じるのかもしれない。



はい、敦賀原発。





敦賀半島に入るとグニャグニャと蛇行する山道がひたすら続く。
いくつかの民宿も目に入ってきた。

敦賀原発周辺に近づくと何故か緊張してきた。
(原発施設には入るわけでもないのに)

写真の原子炉建屋の右の建物はタービン建屋なのかな?
何の作業をしているのかはわからないけど、
ヘルメットを被り、作業着を着ている方々も20人ほど見かけた。





帰り道、コンビニに寄った。
コンビニと言っても全国展開しているような24時間営業のお店ではない。
写真は駐車場から撮ったもので左に見えるのは民宿。

店の前で上下スウェットで金髪の女の子が
傍らにいる黒猫を撫でながら座っていた。
(ヤンキーという感じではなく柔らかい雰囲気を持つ女の子だった)

その女の子は店員さんだった。
店内は普通のコンビニの半分にも満たないくらいの広さだった。
とりあえず煙草とお茶だけ買って店を出た。



車の中で
「あのお店は民宿を経営している方が経営しているお店なのだろうか
それとも漁業を営んでいる方が経営しているのだろうか。」
などとと考えていた。





この地図上の赤い丸はコンビニ。
おそらく大手のコンビニだろう。
敦賀半島には1件も無い。



敦賀市の中心部から約15キロ、敦賀半島の先端に位置する敦賀市立石区。
原発が立地する以前は、市街地に向かおうにも道路が未整備で、
住民は交通手段を船に頼っていた。
「昔はほんまの陸の孤島やった」。
当時を知る浜上秋良さん(92)はこう振り返る。

「陸の孤島」脱したい :福井新聞

どんなに変わったのだろうかと少し期待を持っていたのだが、
行ってきて感じたことは、いまだに「陸の孤島」だということ。

民宿がいくつか見えたけど
自分が海水浴に行くとしたらわざわざここに行くだろうか?
やはりこの辺のお客さんは「原発の作業員」の方なのではないだろうか?

民宿、定検作業員頼み ホテル進出に危機感 :福井新聞

原発停止で「売り上げ減」 嶺南168社調査、業種幅広く :福井新聞



原発が今すぐ無くなっても
敦賀市は最悪でも夕張市くらいになるだけかもしれないが、
敦賀半島の先端に位置する地域はそれだけで済むのだろうか?

都市を強者とすると地方は弱者かもしれない。
この地域はその中でもさらに弱い立場なんじゃないか?

軽々しく「町おこしをすればいい」と口にする人間がいるが、
ここを実際に見て、それでも軽々しく言えるのかは疑問。



これはきっと原発問題では無いんだ。
しかし原発に翻弄されてしまう問題なんだ。

原発だけに囚われてしまうと、脱原発を達成した後に
原発に関係の無い問題を抱えた地域は無視されかねない。
根底に通じるおかしな構造が変わらなければ本当の解決は無い。